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コロナ禍に関わる新しい法令および重要な税務政策に関するガイダンスの概観

今回の弊社Grant Thornton Vietnamのニュースレターでは、コロナ禍に関わる新しい法令および重要な税務政策に関するガイダンスをまとめて概観してみたいと思います。

1. コロナ禍における事業奨励に関する規定

1.1.  コロナ禍の影響を被った企業、国民への支援を目的とする施策に関する決議Resolution 406/NQ-UBTVQH15Resolution 406

コロナ禍の影響を被った企業および国民への支援を目的とする施策に関する2021年10月19日付け決議Resolution 406が国会常務委員会から公布されました。注意すべき内容として以下のような事項があります。

法人所得税 (CIT) の減税

  • 法人所得税法の規定に基づく2021年度の売上が2,000億VNDを超えず、かつ、2019年度の売上から減収した場合、2021年度の法人所得税額が30%減税されます。
  • 2020年度、2021年度における企業の新設、新設合併、吸収合併、分離、分割の場合には、2019年度と比較した2021年度の売上の減収という条件は適用しません。

個人所得税 (PIT)、付加価値税 (VAT) およびその他の税の免税

  • 省・中央直轄市の人民委員会委員長により2021年にコロナ禍の影響を被ったと決定された郡(huyen)レベルの各地域で事業活動を営む世帯・個人について、2021年の第3四半期および第4四半期における各月の事業活動から生じる個人所得税、付加価値税およびその他の税が免税されます。
  • ソフトウェア製品・サービス、娯楽、電子ゲーム、デジタル映画、デジタル写真、デジタル音楽に関するデジタル情報コンテンツ製品・サービス、デジタル広告の提供から生じる所得・売上については、免税が適用されません。

付加価値税 (VAT) の減税

  • 以下の商品・サービスに関わる2021年11月1日から2021年12月31日までの期間の付加価値税が30%減税されます。
    • 運輸サービス(陸運、海運、空運、その他運輸);宿泊サービス;飲食サービス;旅行代理店、観光ツアー事業のサービス、および、観光ツアーの広告および実施に関連する各種支援サービス。
    • 出版製品・サービス;映画サービス、テレビ番組制作、音楽の録画および出版;芸術作品、および、創作・芸術・娯楽サービス;図書館、記録保管、博物館および、その他文化活動のサービス;スポーツ、遊戯および娯楽サービス(出版ソフトウェアおよびオンライン形態での各種製品サービスは含みません)。
  • 付加価値税の申告方法により、減税額の計算方法は以下の通りとなります。
    • 控除法による付加価値税の申告を行う企業:付加価値税率が30%下がります。
    • 売上に対する比率による付加価値税の申告を行う企業:付加価値税の計算に使用する比率が30%下がります。

2020年および2021年に発生した延滞金利の免除

  • 2020年に損失を被った企業(従属組織、営業所を含む)について、税金、土地使用料、土地リース料の滞納金から発生する2020年および2021年の延滞金利が免除されます。

なお、決議Resolution 406の施行政令草案については意見徴収中ですが、以下のような内容が含まれています。

  • 適用対象に関する規定。
  • 法人所得税に関わる税務年度の売上に関する規定。
  • 各種税目の減免税額の計算方法、課税標準に関する規定。
  • 手続き、書類に関する規定。

但し、現時点では、政令はまだ正式に公布されていません。正式に公布されましたら、改めて弊社ニュースレターでご案内させてい頂きます。

 

1.2.  コロナ禍の影響を被った対象者の2021年の土地リース料減額に関する首相決定Decision 27/2021/QD-TTg

土地リース料を毎年納付する形態で管轄当局による決定または管轄当局との契約に基づいて国家から土地を直接リースしている組織、企業、世帯、個人などがコロナ禍の影響を被った場合の2021年の土地リース料減額に関する2021年9月25日付け首相決定Decision 27/2021/QD-TTgが公布されました。

  • 減額される金額:2021年の土地リース料額が30%減額されます。2021年以前の過年度の土地リース料滞納額および延滞金利(ある場合)については減額されません。規定による減額を既に受けている場合、その減額された金額に対して30%の減額が計算されます。
  • 当該首相決定は、署名日から2021年12月31日まで効力を持ちます。

 

2. コロナ禍における法人所得税および付加価値税に関連する規定およびガイダンス

2.1. コロナ禍対策のための支援および寄附の損金算入に関する政令Decree 44/2021/ND-CP

コロナ禍対策のための支援や寄付の損金算入に関して規定する2021年3月31日付け政令Decree 44/2021/ND-CPが公布されました。これによれば、規定に基づく支援金受領組織(各レベルでのベトナム祖国戦線中央委員会、医療組織、集中隔離組織、各レベルでのコロナ禍対策のための寄付募集や基金の機能を持つ機関など)を通じたベトナムでのコロナ禍対策のための現金および現物による支援や寄附による費用は、充分な書類や証票があれば、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。

書類:

  • Decree 44/2021/ND-CPの別表様式による支援および寄付の確認書、または、支援および寄附を行う側の企業代表者および支援および寄附を受ける側の代表者の署名および押印を伴う支援および寄附費用を確認する文書や資料。
  • 現金または現物による支援および寄附に関わる法令の規定による合法的なインボイス・証票。

 

2.2.  固定資産減価償却費の損金算入に関するOfficial Letter 12452/BTC-TCT

コロナ禍の影響によって、市場の需要減退や企業活動への影響が生じていますが、固定資産原価償却費の損金算入に関するガイダンスとして2020年10月9日付けOfficial Letter 12452/BTC-TCTが財政省から公布されています。概要は、以下の通りです。

困難に直面して2020年税務年度に9カ月未満の間、稼働を一時的に停止した固定資産があり、その後、事業活動のために稼働再開した場合、季節的業務を要因とする一時的停止の場合に該当します。これによれば、当該期間における減価償却費は、当該固定資産の一時的停止に関する書類を不備なく保管して、税務当局からの要請に応じて提出することができれば、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。

 

2.3.  コロナ禍対応のための外国人専門家の隔離費の損金算入に関するOfficial Letter 5032/TCT-CS

コロナ禍対応のための外国人専門家の隔離費に関するガイダンスとして、2020年11月26日付けOfficial Letter 5032/TCT-CSが税関総局から公布されています。隔離費の損金算入に関する概要は、以下の通りです。

  • ホテルでの隔離費:労働者と締結した労働契約で、家賃は企業側が労働者へ支払うことを記載してある場合、隔離施設へ支払う費用は、インボイス・証票に不備がなく、規定に基づく決済がされていれば、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。
  • 飛行機チケットの購入費:インボイス・証票に不備がなく、規定に基づく決済がなされていること。
  • 新型コロナウイルス検査費:労働者に対して直接に支払われた福利の性格を持つ支給として見なされて、インボイス・証票に不備がなく、規定に基づく決済がされていれば、損金算入が認められます。

 

2.4.  コロナ禍において労働許可証の発給をまだ受けていない外国人労働者の給与費に関するOfficial Letter 2099/CT-TTHT

政府決議Resolution 28/NQ-CPによれば、新型コロナウイルス流行国・地域からの外国人労働者への労働許可証発給は、一時的に停止されます。バクニン省税務局が公布した2020年6月25日付けOfficial Letter 2099/CT-TTHTでは、コロナ禍において労働許可証の発給をまだ受けていない外国人労働者の給与費について、以下の通り規定しています。

ベトナムでの労働許可証の発給をまだ受けていない外国人労働者に対する規定に基づく隔離期間後の給与費は、政府決議Resolution 28/NQ-CPによれば、Circular 96/2015/TT-BTC第4条の規定に従う条件を満たせば、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。

 

2.5.  コロナ禍の影響により発生した費用の損金算入に関するハノイ市税務局のガイダンス

社会隔離および休業期間中の労働者への支給に関する2020109日付けOfficial Letter 89924/CT-TTHT

コロナ禍の影響による給与費およびその他支給に関するガイダンスとして、2020年10月9日付けOfficial Letter 89924/CT-TTHTがハノイ市税務局から公布されています。概要は、以下の通りです。

コロナ禍の影響による社会隔離期間や休業期間に仕事を休んだ労働者への給与賃金および給与賃金の性格を持つ支給、および、労働者に対して直接に支払われた福利の性格を持つその他支給については、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。

隔離費、検査費、ワクチン接種費に関する2021813日付けOfficial Letter 31557/CTHN-TTHT

コロナ禍対応に関連する費用の損金算入に関する2021年8月13日付けOfficial Letter 31557/CTHN-TTHTが、ハノイ市税務局から公布されました。概要は、以下の通りです。

  • 労働者の隔離費:労働者と締結した労働契約で、家賃は企業側が労働者へ支払うことを記載してある場合、隔離施設へ支払う費用は、インボイス・証票に不備がなく、規定に基づく決済がされていれば、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。
  • 労働者の新型コロナウイルス検査費、ワクチン接種費は、労働者に対して直接に支払われた福利の性格を持つ支給として見なされます。福利の性格を持つ費用総額が税務年度内の実際の平均月次給与額1ヵ月分を超えない場合、インボイス・証票に不備がなく、規定に基づく決済がされていれば、法人所得税の計算に際して損金算入が認められます。

 

3. コロナ禍における労働者のための費用に関する個人所得税の論点

3.1.  コロナ禍対策のための外国人専門家の隔離費に関わる個人所得税取り扱いに関するOfficial Letter 5032/TCT-CS

前述のOfficial Letter 5032/TCT-CSでは、コロナ禍対策のための外国人専門家の隔離費に関わる個人所得税取り扱いに関しても税務総局の意見が述べられています。これによれば、コロナ禍対策のために会社が支払うベトナム入国時の隔離費は、原則的には、労働者の利益と見なされて、労働者の給与所得として個人所得税課税所得に含まれます。

 

3.2.  会社支払外国人専門家隔離ホテルわる個人所得税取いにするOfficial Letter 2548/CT-TTHT

ベトナムで仕事をするために渡越する外国人専門家の送迎や隔離を含む飛行機チケットの一括サービス利用費用についての個人所得税取り扱いに関するガイダンスとして、2020年9月1日付けOfficial Letter 2548/CT-TTHTが、ハイフォン市税務局から公布されています。概要は、以下の通りです。

  • 専門家が外国会社の労働者である場合: 当該外国会社の方針および規定による出張費の条件を満たしている場合、ベトナムでの個人所得税課税所得には含めません。
  • 専門家がベトナムの会社と労働契約を締結する場合: 当該費用は、労働者の利益と見なされて、個人所得税の課税所得になります。但し、労働者に代わって会社が支払うホテル代は、実際に支払う金額に基づいて課税所得に含まれますが、家賃額を含まない課税所得総額(支払い場所を問わず会社が支払う所得)の15%が上限となります。

 

3.3.  コロナ禍の労働者に関連する費用に関わる個人所得税に関するバクニン省税務局のガイダンス

2021316日付けOfficial Letter 352/CTBNI-TTHT

隔離期間中の外国人専門家の関連費用に関するガイダンスとして、2021年3月16日付けOfficial Letter 352/CTBNI-TTHTが、バクニン省税務局から公布されました。概要は、以下の通りです。

  • 入国場所からベトナムでの隔離施設までの送迎費、新型コロナウイルス検査費および隔離期間中の食費・生活費を含む入国に伴う関連費用を会社が外国人労働者に代わって支払う場合、これらの費用は、労働者の給与所得として個人所得税課税所得に含める必要があります。

2021629日付けOfficial Letter 1883/CTBNI-TTHT

安全な事業活動のための新型コロナウイルス感染症対策費用(現場での生産、現場での食事、および、現場での休憩・宿泊のいわゆる「3つの現場」対応費用)に関わる個人所得税取り扱いに関するガイダンスとして、2021年6月29日付けOfficial Letter 1883/CTBNI-TTHTがバクニン省税務局から公布されました。会社では、会社で働く労働者の食事場所および宿泊場所を用意する費用、仕事をする労働者が会社へ入る際および地元へ戻る前の定期的な新型コロナウイルス検査費用、会社に居残る労働者への手当費用などを支出する必要があります。これら費用項目については、支払い対象となる個人の名前が明記されている場合、個人所得税の課税所得に含めます。一方で、個人の名前が明記されておらず、労働者全体への支出の場合には、個人所得税の課税所得へ含めません。

但し、会社に居残って働く労働者へ支払う手当(支払い対象となる個人の名前が明記されており、かつ、給与と同時に支払われる手当)は、労働者が享受するその他利益となり、個人所得税の課税所得へ含める必要があります。

 

3.4. 労働者のための新型コロナウイルス防止対策費用に関するハノイ市税務局のガイダンス

2020716日付けOfficial Letter 66297/CT-TTHT

このガイダンスでは、コロナ禍でマスク、手洗い用殺菌剤、保護用具などの購入費用や新型コロナウイルス防止対策のための感染症検査費用、労働者全体のための費用が発生した場合、従業員の個人所得税課税所得へ含めないことを明記しています。

2021313日付けOfficial Letter 31557/CTHN-TTHT

前述のOfficial Letter 31557/CTHN-TTHTでは、労働者のための新型コロナウイルス防止対策費用に関するガイダンスとして、これら費用の対象となる個人の名前が明記されている場合、個人所得税の課税所得へ含めることがハノイ市税務局により明確にされています。

 

4. その他支援政策

4.1.  コロナ禍における企業、合作社、事業世帯への支援に関する政府決議Resolution 105/NQ-CP

コロナ禍における企業、合作社、事業世帯への支援に関する2021年9月9日付け政府決議Resolution 105/NQ-CPが公布されました。これによれば、ベトナムで働く外国人労働者に対する労働許可証の発給、期限延長、確認に関する規定および条件が緩和されます。

 

4.2.  コロナ禍の労働者および雇用主に対する社会保険制度の支援政策に関する首相決定Decision 23/2021/QD-TTg

コロナ禍で困難に直面している労働者および雇用主への支援政策実施に関する2021年7月7日付け首相決定Decision 23/2021/QD-TTgが公布されました。以下のような注目すべき事項が見られます。

  • 2021年7月1日から2022年6月30日までの期間の労働災害・職業病保険の保険料率(社会保険料算出根拠となる給与基金に対する料率)が、現行の5%から0%へ変更されます。
  • コロナ禍の影響を被った雇用主が、社会保険加入労働者数を、2021年4月時点と比較して15%以上減らす必要があった場合、労働者および雇用主は、申請書類の提出時点から6カ月間、年金・遺族年金基金への納付を一時的に停止することができます。
  • 労働契約の期間内に連続で15日以上、労働契約の履行を一時的に停止、または、無給休暇を取得する必要があった一定の場合、一人あたり1,855,000 VNDから3,710,000 VNDまでの一時支援金を受けることができます。

 

4.3.  コロナ禍の影響を被った労働者および雇用主への失業保険基金からの支援政策に関する決議Resolution 116/NQ-CPおよびガイダンス

決議Resolution 116による支援政策の概要は、以下の通りです。

  • 現金給付:
    • コロナ禍の影響を被った労働者に対する支援金が失業保険基金から出ます。金額は、まだ失業給付金を受けていない失業保険料納付期間に基づきます。
    • 対象者:
      • 2021年9月30日時点で失業保険に加入していた労働者(但し、国家機関、政治組織、政治社会組織などで働く労働者は対象外です)。
      • 2020年1月1日から2021年9月30日までの期間中に労働契約が解消されて失業保険未加入となっている労働者で、失業保険料納付期間が維持されている場合。但し、年金受給者は除きます。
    • 給付額:失業保険料の納付期間により、一人当たり1,800,000 VNDから3,300,000 VNDまで。
    • 実施期間:2021年10月1日から2021年12月31日まで。
  • 失業保険料の減額
    • 適用対象:2021年10月1日前に失業保険に加入していた雇用主(但し、国家機関、政治組織、政治経済組織、人民武装組織、および、国家予算により経常支出を保証されている公立事業組織は対象外です)
    • 失業保険料の減額:雇用主が納付する保険料は、失業保険加入対象に属する労働者の月給の1%から0%へ減額されます。
    • 減額期間:2021年10月1日から2022年9月30日まで。

 

4.4.  コロナ禍の影響を被った企業に対する労働組合費の納付期限延長に関するOfficial Letter 2059/TLD

コロナ禍の影響を被った企業に対する労働組合費納付期限の延長に関する2021年5月28日付けOfficial Letter 2059/TLDが、ベトナム労働総同盟から公布されました。概要は、以下の通りです。

コロナ禍の影響を被った企業(一時的な休職を余儀なくされた労働者が、強制社会保険への加入対象に属する労働者総数の50%以上となる企業)は、労働組合費の納付期限が2021年12月31日まで延長されます。

 

4.5.  コロナ禍の影響による休業期間中の給与しはらいに関するOfficial Letter 264/QHLDTL-TL

コロナ禍による休業期間について、雇用主は、以下の点に注意する必要があります。

  • 休業期間中の給与支払いは、労働法第99条の規定に基づきます。休業の原因(雇用主または労働者の落ち度によるものか、または、客観的な原因によるものか)を精査した上で、労働者への給与支払いを決定します。
  • コロナ禍による直接的な影響で休業を余儀なくされた労働者に対する休業期間中の給与支払いは、以下の通りとなります。
    • 14営業日以下の休業の場合、休業期間中の給与は、最低賃金額を下回らない金額で協議し合意します。
    • 14営業日を超える休業の場合、休業期間中の給与は、両者で協議し合意します。但し、最初の14日間の給与は、最低賃金額を下回らない金額とします。