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関連会社との取引において、取引価格が第三者との取引に比べて著しく低いことは意図せずとも生じてしまいます。このような状況に対して、移転価格上のリスクが税務当局に指摘されることがあります。具体的には、税務当局による調査が入った際に取引の単価を第三者との取引価格で(より高い価格で)取引したものとみなし、差額の利益にかかる所得税を徴収されるリスクがあります。このような事態を避けるために、会社は移転価格文書を用意することとなります。つまり、関係会社との取引が他の第三者との取引に比べて、著しく安価で取引が行われていないことを証明することが移転価格文書の役割です。では、どのように適正な取引であることを証明するのでしょう?
ベトナムでは、現在、利益比準法(以下CPM法)を使うことが一般的です。利益比準法とは、実際の取引において、生じた利益幅を算定してその利益の幅が他の一般的な取引と著しく異ならないことを理由に、取引が適正であることを証明する方法です。他の一般的な取引については、様々なデータを参照し、データベースを作成します。しかし、近年ベトナムではこの利益幅が他の一般的な取引を上回らなくても追徴を受けるケースが散見されます。その理由は、当局が価値比較を優先する傾向にあるからです。具体的には、税務調査の担当官は発注及びそれらに関連する会計資料の確認を行い、会社が実際に取り扱った製品の単価と、同様の製品の価格の比較を行う、内部比準法(Internal CUP)を適用することがあるためです。
以下において、製造業及び卸売り業における実例を挙げます。いずれの例も、利益幅が適正であることを前提とします。
上記いずれのケースにおいても、税務当局は自身の市場価格に照らし、取引される品目の「公正価格」を設定し、公正価格を著しく上回る、もしくは下回る取引があれば、その差額分を課税対象の所得に算入して、追徴税額を計算します。移転価格文書では、このような事態を避けるために、CPM法対策のみならず、内部批准法を用いて、会計記録から実際に取り扱った製品の単価と同様の製品(見かけ上同一性が高い物を含む)の価格の比較が行われた際においても対応出来る内容となっている必要があります。また、製品の販売の際に、関連会社と第三者への販売を別の勘定科目で分けている場合においても、同様の製品と見なされれば、それだけで移転価格上のリスクはあります。
よって、移転価格上のリスクを軽減するために、移転価格文書作成の際に、内部比準法の適用がされた場合のリスクの想定は必要でしょう。
著Nguyen Bao Thai(税務シニアマネージャー)
訳・補足 小澤健(ジャパンデスクマネージャー)
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