今回の弊社Grant Thornton Vietnamのニュースレターでは、為替管理、投資、税務、社会保険および労務について最近公布された政策・ガイダンスに関する最新情報をご案内致します。

1. 政府保証の無い外国借入の条件に関する2023630日付けベトナム国家銀行Circular 08/2023/TT-NHNN

政府保証の無い外国借入の条件に関する2023630日付けCircular 08/2023/TT-NHNHがベトナム国家銀行(中央銀行)から公布されました。2023815日から施行され、2014331日付けCircular 12/2014/TT-NHNNは廃止されます。概要は以下の通りです。

I. 一般規定

  • 借入側が、海外債券発行の形態による外国借入を行う場合、および、国営企業が借入側の場合について適用される法令の規定に関する条項が追加されています。
  • 延払条件による商品輸入の形態による外国借入はCircular 08/2023/TT-NHNHが定める外国借入の条件に従う必要が無い旨の条項が追加されています。
  • 外国借入使用の原則という条項が追加されており、借入金(借入したが、本ガイダンスが定める合法的な外国借入の目的にはまだ使用しない借入金)をベトナムで活動している信用機関、外国銀行支店へ預金(各々の預金期間は最長1か月)することを認める内容があります。
  • 外国借入使用計画および外国債務再編計画に関連するいくつかの概念および規定が追加されています。企業による短期外国借入の場合、外国借入使用計画に添えて資金使用需要表も作成することに留意する必要があります。

II. 企業に対する新たな条件

  • 中長期外国借入の目的、借入資金の使用、外国借入の目的を証明する資料に関する規定がより具体的になっています。また、Circular 08/2023/TT-NHNHでは、借入費用を増加させない外国債務の再編に関する規定は廃止されています。
  • 様々な目的に対する外国借入の限度額、借入額の計算に使用する為替レートに関する具体的な規定があります。

III. 借手側および外国借入資金用口座サービスを提供する銀行側の各々の責任に関する新たな規定。

2. 四半期投資活動報告および投資プロジェクト活動監督評価報告の報告様式および実施制度に関するCircular 05/2023/TT-BKHDT

Circular 05/2023/TT-BKHDTが計画投資省から公布され(202391日から施行)、20151218日付けCircular 22/2015/TT-BKHDTおよび2016929日付けCircular 13/2016/TT-BKHDTが廃止されました。Circular 05/2023/TT-BKHDTでは、投資の監督・評価に関する報告書作成および報告に関連する組織および個人に関わるオンライン報告制度、情報更新、および、オンライン報告のアカウント管理に関する詳細な規定が追加されています。

本ガイダンスの施行日前に実施する各種投資活動報告は、2023328日付け投資計画省Official Letter 1445/KH&DT-DTTDのガイダンスに基づきます。

3. グローバル税源浸食防止(GloBE)規則に基づく適格国内最低トップアップ法人所得税の適用に関する建議および国会決議草案

2021108日、経済協力開発機構(OECD)は、2つの柱からなる解決策を発表しました。このうち、第2の柱では、低税率国への利益移転による脱税を防ぐため、多国籍企業への国際最低税率を導入しています。第2の柱(国際最低税率)の実施状況については、海外投資を行う国々に対して、基本的には、2024年から国際最低税率15%が適用され、実効税率と国際最低税率15%の差額が徴収されます。

ベトナムの合法的な権利と利益を守るため、財政省は、国会決議の策定に関する建議書を政府へ提出しました。国会決議の内容は、課税年度直前の4年間で少なくとも2年度での最終親会社連結財務諸表の収入金額が75,000万ユーロ相当以上(規定による一定の場合を除く)の多国籍グループのメンバー会社、最終親会社に対して適用される、グローバル税源浸食防止(GloBE)規則に基づく追加法人所得税の適用に関するものです。同時に、国会も、決議草案要綱を公布しています。

決議草案の概要は以下の通りです。

  • 適格国内最低トップアップ法人所得税(QDMTT)に関する規定(申告および納税期限:課税年度終了後12か月)。
  • 最低所得合算ルール(IIR)(申告および納税期限:課税年度終了後15カ月)

4. 銀行システムを経由する社会保険料納付に関するガイダンスOfficial Letter 1995/BHXH-TCKT

銀行システムを経由する社会保険料納付に関するガイダンスが2023年6月30日付けでベトナム社会保険庁から公布されました。 加入企業の権利を遅滞なくかつ制度に準拠して処理すべく納付情報を迅速かつ正確に照合・確認する上で社会保険当局の一助とするのが目的です。具体的には以下の通りです。

a) 銀行のモバイル・バンキングアプリを使用して社会保険料を納付している加入企業の場合:ログインして納付情報を選択します。

b) その他方法に基づく送金支払依頼書の作成をする加入企業の場合:送金コード:+BHXH+103+00+加入企業コード+社会保険当局コード+dong BHXH+

社会保険当局コードの詳細は、地方社会保険当局から文書によるガイダンスが公布されます。

5. 個人所得税の扶養控除に関わる被扶養者の条件および証明書類に関するOfficial Letter 46974/CTHN-TTHT

個人所得税に関わる扶養控除に関して、202374日付けOfficial Letter 46974/CTHN-TTHTがハノイ市税務局から公布されました。これによれば、Circular 111/2013/TT-BTC9条第1đが規定する被扶養者とされる条件を満たす実父・実母、配偶者の父母、継父・継母、合法的な養父・養母を届出する場合、同時に、Circular 111/2013/TT-BTC9条第1g3が規定する被扶養者を証明する充分な書類もあれば(所得証明書類は不要です)、規定により個人所得税課税所得の計算をする際に扶養控除の申告をすることができます。

6. 返品および売上割戻の場合の電子インボイス作成に関する2023719日付けホーチミン市税務局Official Letter 8999/CTTPHCM-TTHT

これによれば、電子インボイス使用に関する税務総局のガイダンス(Official Letter 2121/TCT-CS)を統一的に実施するため、ホーチミン市税務局が以下のようなガイダンスをしています。

  • 規格や品質に問題があり返品を受けた場合に関しては、その商品が、8%に減税された付加価値税率の対象となっており202311日前に販売されたものの場合、販売者は、付加価値税率8%で返品インボイスを作成します。
  • Decree 15/2022/ND-CPに基づく付加価値税減税を受けた商品の売上割戻インボイス作成に関しては、税務総局のOfficial Letter 2121/TCT-CSに従って実施します。顧客に対する売上割戻の制度を適用している場合で、付加価値税率が8%に減税された商品を2022年中に販売して、202311日以降になって売上割戻を表示するインボイスを発行する場合、当該売上割戻額については、以下の通り実施します。
  • 20221231日の後になって、最後の購入時または翌期に売上割戻を行う場合、販売済み商品の売上割戻額は、税額計算価格の内容で調整し、税率はインボイス発行時点で適用される規定に基づきます。
  • 20221231日の後になって、売上割戻キャンペーンの終了時に売上割戻を行う場合、販売者は、販売時の付加価値税率8%を適用して調整インボイスを発行します。

7. EPEから非EPE、支店、支店、子会社への機械設備リースの手続きに関する2023712日付け Hai Duong省税務局Official Letter 11680/CTHDU-TTHT

輸出加工企業(EPE)から非EPE、支店、子会社への機械設備リースの手続きに関して、2023712日付けOfficial Letter 11680/CTHDU-TTHTHai Duong省税務局から公布されました。概要は以下の通りです。

  • 管轄当局から非EPEへの機械設備リースの許可を得たEPEは、税法の規定に基づくEPE活動に関わる減免税の優遇額を返却する必要があります。同時に、EPEは、非EPEに対する機械設備リース活動に関連する売上および費用を個別に会計処理する帳簿を用意する必要があり、製造活動の会計と一緒にすることは認められません。EPEは、当該リース活動に関わる税務登録の手続き、および、納税義務を規定通りに履行する必要があります。
  • 機械設備リース活動に対してDecree 123/2020/ND-CPに基づく電子VATインボイスを使用する場合、EPEは、当該リース活動について控除法により付加価値税を申告します。
  • 機械設備の減価償却費については、20141222日付け財政省Circular 200/2014/TT-BTC38条の規定に基づいて実施します。税関当局へ使用目的の変更登録を行い、個別に会計処理を行っている機械設備の減価償却費用は、2015622日付け財政省Circular 96/2015/TTBTC4条の規定に基づく輸出加工活動の法人所得税計算における損金参入ができません。